「スター」
SINCE 1998.8
1999年2月28日更新
スープ:鶏ガラ(澄んでいます)
麺 :中細
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本日は課題店と致しておりました「スター」に出掛けて来ました。創業は既にゆうに30年は越えており、店構えもおぢぢもその霜雪に耐えてきた威厳と恐ろしさを感じさせます。おまけに30年以上も昔から「スター」という当時も今も気恥ずかしくもあり、また仄かな憧れを感じさせるバタ臭い屋号付け、なおかつ暖簾にもそれを染め抜いている辺りにただ者ではない雰囲気を
伺い知ることが出来ます。
即身成仏をも覚悟した私は坊主の友人を同行させることに致しました。何か有れば彼が即座に戒名を付けて荼毘に付してくれ、ガガーリン(作者注:ガガーリンとは人類で初めて宇宙空間を体験したソビエト人パイロットのことです。)の如く笠岡の中華そばを極めようとした私の功績を後世に語り継いでくれると信じたからに他なりません。
さて、店の前まで車で到着したのは良いが、この狭い道幅で路上駐車とは如何なものかと思案をしていると、運良く立ち退きをした家の跡地が駐車場として利用されており、更に凄いことにはその中の僅かな区画に「スター専用」のスペースが設けられておりました。すかさずそこに車を突っ込むと私と坊主は車から降りると、「らせん」の安藤が失踪してしまった高野舞のアパートのドアを開いた時の心境を追体験しながらドアに手を伸ばすと、これから目の前に繰り広げられる光景に恐れおののきながらも勇気を振り絞り、恐怖心を追いやりながら勢い良く開け放ちました。
そんな私たちの目の前に出現したものは、甦った貞子、、、、、、ではなく、例え明日の朝刊に死亡広告が入っていても納得してしまいそうなおぢぢが一人と、昼時だというのに一人しか居ない客でありました。う〜〜〜みぃ、これはまた地雷を踏んでしまったかもしれん。
まぁ、それでもメニューは本来ならば「中華そば」「焼きそば」の二本立てであったろうに、今では「中華そば」一本に絞って極力不良在庫を減らし、僅かな余生をこの店と共にしようというこのおぢぢに私は宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長の姿を見てしまい、これ以降、このおぢぢに敬意を表して「沖田店長」と呼ぶことを深く心に約束したが、余りにも約束が深かった為、椅子に座るともに忘れてしまいました。
さて、麺の具合は「普通」と「堅め」を注文しましたが、この手のおぢぢには「桃李園」で痛い目に遭わされておりますので、何が出てきても少々のことでは驚きません。むしろ、変な物を出されようが罵倒したり、批判するのではなく「昔懐かしい味」と言い繕って上げれるだけの度量は持ち合わせておりますし、「沖田店長」に敬意を表してそう評価して上げれるほどの優しさも兼ね備えております。
肝心の中華そばは「堅め」と注文した私の物と、「普通」と注文した坊主の物は別々に時間差で、親父の指突っ込み付きで運ばれてきた丁寧さには正直驚かされました。ここで驚いたのは熱いラーメンスープに親指を入れても熱がらない「沖田店長」の根性ではなく、堅さの違う麺をちゃんと茹で分けているという事です。そして何より驚かされたのはその中華そばの見た目でしょう。見ただけでなんと正直にそして丁寧に作られている中華そばか伺い知ることが出来ます。まるで「坂本」「一久」の中華そばに焼豚とモヤシを載せた物を思い浮かべてくれれば理解し易いと思います。
味の方ですが麺を啜るとスープも美味い具合に絡んできます。澄んだ鶏ガラスープは焼豚のタレと合わせられるのでしょう、「坂本」とも「一久」とも基本は一緒ながら味わいは一線を画した物になっております。
麺は「一久」と同じ物で「丸新麺業」のものです。(「坂本」は同じ製麺所ながら別物の麺だと私は信じております。)これはこれで馴れた物ですから何の違和感もなく頂けます。
焼豚はバラ肉でなかなか柔らかくていいです。むしろこの店でこれだけの物が食べられることに驚きを感じてしまいました。まぁ、シナチク&モヤシは別に取りたてて言うほどの物ではありませんが。
笠岡では既に「斉藤」がその歴史を閉じており、矢掛では「暫」、玉野では「下村」がやはり後継者不足で店を閉じております。先にも申しましたが、ここ「スター」の「沖田店長」も高齢故にいつ閉店になってもおかしくありません。
まだ食べられたことのない方は是非とも一度はこの「スター」を食べて置かれることをお勧めします。岡山のラーメン、笠岡の中華そばをひもとくうえで必ず必要な店になることでしょうし、貴方自身が何より歴史の証人として名を連ねるべきでしょう。
「斉藤」「暫」「下村」の過去を再度繰り返さないためにも。
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